「誰かのお見舞いですか?」


「まぁ…
 病室にはいなかったんですけど」


すると『じゃあ一緒にお話しましょう』と言い出した


何でそうなるのか分からない


断るものの,見かけとは裏腹に押しが強い彼女には敵わなかった


…いやおそらく患者であろう彼女に本気の抵抗は出来なかった


そして連れてこられたのはやっぱり病室で,初音の病室と同じ階だった



「お待たせ!」


そういって入って行く…彼女に続いて入る



「音緒ちゃん!?」


ここは初音の病室じゃないのに…入った途端にいつもの声


するとベッドにちょこんと座っている初音がいた


スリッパをパタパタといわせながら近付いてくる初音に俺は安堵した



「捜したんだぞ
 心配したし…」


「ほんと!?」


そう嬉しそうに言うから


俺は今まで走り回っていた疲れなんか吹き飛んだ


ぎゅうっと抱き着いてきた初音の頭を撫でてやる


こんなこと初めてだったけど,何故か初めてじゃないような…不思議な感じがした