この日は休日で朝から初音のとこに向かった


けど病室に初音の姿はなかった


母さんに聞きに行くけど分からないって言われて,何だか不安だった


とりあえず出歩ける範囲を捜し回る


それでも見つからず,俺は待合室に座りこんだ



「大丈夫ですか?」


鈴の音のような声が頭の上からふってくる


顔を上げると…この間ぶつかりそうになった綺麗な女の人だった


こんな声だったっけ…


顔ばかりで記憶にないこの人の声を俺は記憶する



「あっこの前の!」


向こうも覚えていてくれたらしい


あれ…


この間この人を見た時は私服だったはず


なのに今着ているのは初音がいつも着ているようなパジャマだ



「今可愛いお友達とお話してたとこなんです」


聞いてもいないことをいきなり話し出し,手に持っていたペットボトルの水をくれた



「悪いですよ」


「いいからどうぞ」


ありがたいと思い,差し出された水を受け取り口に含む