「音緒−!
 収穫あったか??」


翌日


『おはよう』よりも先に発する最近の挨拶


凄く会いたいんだって伝わってくるから,早く会わせてやりたいなと思うんだ



「まだ何も
 奈緒子はなんて?」


「ないって
 ちなみに俺もない」


いつも自信満々に言い放つが,自慢するところじゃないと突っ込むべきだろうか


そんな俺たちの周りに人はいない


施設育ちというのと,俺たちの噂,そして近寄るなというオーラのせい


お互いに自分たち以外の人との接触は,基本的に面倒だと思ってるから


例外はあいつらと初音くらいだ


そういえば最近はまともに静たちと顔を合わせてないな



「あっそうだ!
 初音のとこ,明日行こ−ぜ」


前に誘ったことを覚えてくれてたらしい



「ありがとな!」


本当は会わせたくないんだけど


初音が会いたいんだったら会わせてやろうと思えちゃうんだよな


後は余計なことを縁が喋らないことを祈るしかない


こいつは色んな意味で危険だからな