誰かが

“偶然などない
 物事はすべて必然だ”

と言っていた

それが本当なら…あの時の出来事はすべて起こるべき事だったのだと,自分を慰められるのに





200X年12月半ば



「初音−」


いつも通り病室に行くと,珍しくベッドの上に初音の姿がなかった


検査か何かだろうと病室で待ってみたが,中々戻って来ない


聞きたいことがあったけど明日でいいか


俺は縁の姉貴を捜すため,病院を出た


今日はどこから捜すのかと手帳を見ながら歩いていたら,出入口で人にぶつかりかけた



「すみませんっ」


どうやら向こうもよそ見していたらしく,先に謝られてしまった


『こちらこそすみません』そう言おうとして言葉を失った


色素の薄いふわふわの髪,それと同じ色の瞳の凄く綺麗な女の人


…とても初音に似ていた


まるで初音の数年後を見ているような気分だった


固まってしまった俺にペコッと頭を下げ,病院の中に消えていった


初音の家族だろうか


そんなことを思いながら俺は縁の姉貴を捜しに向かった