「い−や−っ
 変態っ悪魔っ
 は−な−し−て−っ」


道の真ん中でギャンギャン吠えているのは無理矢理連れて来られた奈緒子


まぁ無理もないと思う


いきなり部屋に入って来たと思ったら担ぎ出されたんだから


…今回ばかりは奈緒子に同情する


止めようとは思ったんだけどあまりにも楽しそうな顔をしている縁を止めるなんて出来なかった


だって止めたら後が怖い


日頃やられてる分やり返そうって魂胆だろうし



「用件を言いなさいよ用件を!!」


ヴッという嫌な声と咳込む声


どうやら奈緒子の女とは思えない威力の蹴りを喰らったらしい


『自業自得だよな』と思いつつ,奈緒子の2発目の蹴りから守ってやる



「あと一発喰らったら病院行きだからな
 奈緒子
 用件は…分かってるんだろ?」


奈緒子は俺に止められた足を戻し,うっふっふ−と怪しげに笑った


かと思うとポケットの中を探り,途中表情を崩した


そういえば無理矢理連れて来たにも関わらずきちんとした服を着ている


こうなることが分かってたんだろうな