star dust

とりあえず患者であるゆうさんに負担を掛けるのはよくないので一旦退散することにし,戻ることを告げ,縁を引きずるように連れて前を歩くゆうさんを追った



ゆうさんは白だと思っている縁はすっかり元に戻ってしまい,これもこれで面倒だなと思った


縁という人間の標準装備が“面倒な奴”だと再認識させられ,やっぱり溜め息が零れた



「その人は音緒くんのお友達?」


「いえ,施設が一緒だったんですよ
 悪友というか兄弟というか……」


ゆうさんは背を向けたまま話しかけて来たので表情は見えなかったが,俺の返事に若干ではあるが肩を揺らした



『そうなんだ』と無難に返したであろう声は少し震えているように感じたけども,それ以上は何も言わなかったし聞かれなかった




「音緒ちゃんっ遅いんだからね−!!」


病室に戻るとゆうさんの言う通りお姫様はご立腹で


慌てて謝るもプイッとそっぽを向いてしまい,視線は俺の右斜め,俺の肩に頭を乗せている縁に移る




「縁くんごめんね
 事情知ってたのにまさか名前が…」


「俺の方こそごめんな
 名前が一致したの初めてでさ
 取り乱しちゃった」


何が“ちゃった”だまったく…