star dust

俺は無意識に『よかった』と安堵の声を漏らし初音の頭を撫で,初音から体を離し動いたと同時に手を振りかぶっていた



乾いた音とガタンという音がほぼ誤差もなく響き渡ったと感じた時には,縁は驚いた顔で尻餅を衝いていて,俺の右手にはジンジンと鈍い痛みが襲っていた




「音緒ちゃん!?」


「お前もう帰れ」


どこから出たのか分からない始めて聞いた自分の低く過ぎる声に内心戸惑ったが,怒りの方が勝ってる俺にとっては何の歯止めにもならなかった



だけど初音の声で少し冷静になれた(と思う)俺は縁の首根っこを掴んで病室の入口まで連れていく



『少し出てくる』そう言って微笑んだつもりだったのに,後日聞いたら目が据わっていたと初音に言われたな…




「で縁?
 初音に何してくれてんの?」


「“ゆう”って誰だよ」


「入院患者だよ
 初音の大人版って言ってもいいくらい似てるけど血縁関係なし
 名字は花崎,年齢は聞いたことないけど成人はしてる
 3つのキーワードの内満たしてるのは美人ってことと…まぁ年齢くらい」


一応情報提供してやると『そっか』と肩を落とした…が今の俺が同情とかしてあげるわけないだろう?



俯いている縁を睨みつけているとバッと顔をあげ,初音の名前を口にしたので先程の状況を告げた



すると滅多に見られない慌てふためいた縁が目の前にはいた


正直こうなるとウザイんだけど……


怒る気力も失せた俺は怒りを溜め息に変え吐き出した