「やめなよオッサン。集団暴行はダサいだろ。」



真っ赤なエナメルをスーツにかける。男たちは一瞬怯んだようにあたしをみたが、すぐにいやらしい笑いを口元に浮かべた。

「お嬢ちゃんは黙ってな。」
「犯されてぇのか!?」


ごめん、あたし沸点低いんだわ。



男の髪を引っ付かんで引きずり回し、顔面に膝蹴りを一発。一人。

「春海ぃー、おまえほんと喧嘩好きだなー。」

仲間の拓巳が加勢に加わる。

肩を掴まれれば腕をねじり上げて、わき腹をヒールで抉る。二人。

三人目は拓巳が頭突きして鼻血をふいた。ゲロ弱。

気づけばかなりのオーディエンスがあたしらの喧嘩を遠巻きに眺めていた。