気配に気付いたのか、男子生徒がむくりと体を起こす。



あたしは少しだけこの偶然に驚いた。



「「あ!!」」



歓楽街で囲まれていた男子生徒その人だった。普段顔を覚えるのは苦手なのになぜかすぐわかった。ファーストインプレッションが強烈過ぎたのだろう。



向こうもあたしに気付いたのか、口角をにっと上げる。



ここの生徒は大抵そうだがあたしを避ける。進学校ともなると内申書に響くことは一切手を出さない。いわゆる不良とわざわざ関わるやつもいないだろう。



でもこいつは、なんか違う。



あたしを見ても怯えないし、挙げ句笑いかけてくるのだ。