僕様王子に全てを奪われて

「私…馬鹿にされてます?」

「ええ、思いっきり…馬鹿にしてるわ」

冴子がさらって答えた

な…何で馬鹿にされなくちゃいけないのよ

「一から説明しないとわからない?
アナタ、何も知らないで一生ここにいるつもりだったの?」

「一生…いるつもりは、ないですけど」

「じゃあ、いつまで?
新しい男ができるまで?
結婚相手ができるまで?」

冴子がまたソファに座って、足を組んだ

「アナタがここから出ていくつもりでいるなら、私は手を叩いて喜ぶわ
許婚を取られる悔しさを…知らないわけじゃないでしょ?」

冴子の声が一段と低くなった

え?

もしかして…冴子って、有栖川の?

私は床にぺたんと座ると、冴子の目を見つめた

「ホントに何も知らないって能天気に生きられていいわね」

冴子が呆れたようにつぶやいた