有栖川に出て行けと言われれば、すぐに出ていく

バイトして、一人で生活しろと言うなら、そういう生活に戻る

無意味に着飾って生活しなくていいんだ

私はもう、自由なんだ

好きに生きていい

後ろに控えている家の看板なんて、とうに捨てたんだから

「からかい甲斐のない子ね
旅行の件は無理よ
アナタ一人で行くか…断るかしてちょうだい
今更、仕事のキャンセルは、聖一郎さんにはできません
それと…世間体というのがありますので
自宅に戻るようにお伝えください」

「なんで、私に言うのよ」

「アナタに言わないで、誰に言うのよ
女に目覚めて、全く家に寄り付かなくなった……なんて囁かれているのよ?
高校生のガキの恋愛とは違うのよ
アナタだってわかるでしょ?
華道界の看板を背負ってるのよ、有栖川聖一郎は
ただ有栖川家を後継したわけじゃないの
華道界のプリンスなの
小娘に腰を抜かしている時間なんて、有栖川聖一郎にはないのよ」

すっと冴子が立ち上がった