「ちょっと……『藤城家に捨てられた用なし女』って私のこと?」

私は勢いよく立ちあがると、座っている冴子を見下ろした

「他に誰がいるのよ?
15歳のガキ臭い男に振られるなんて、よっぽど魅力のない女だったのねえ
同じ女として、哀れに思うわ
綺麗になる努力もせず…ずっと家の中に引きこもっていたら…そうなるわよねえ…
しかも聖一郎さんと寝室も別で…ホントに女として哀れに思うわ
男と一緒に暮らしていて、何もないなんて…可哀想で…
何が可哀想って、聖一郎さんよ
わざわざ朝早くに私の部屋に来なくても…いいのにねえ
私より若い女と暮らしてるのに…」

なんか…腹が立つ

それって…私に女として魅力がなくて、有栖川が冴子を抱きに来たってこと?

1時間早く家を出たのは、冴子を抱きたかったからってこと

綺麗になる努力もせず?

家の中に引きこもっていたらぁ?

外に行かせないようにしているのは、誰よ!

綺麗になる努力ですって…金がないのに、どうしろっていうのよ!

ふん!

「ガキ臭い男に振られて悪かったわね!」

ええ、そうでしょうね!

惨めでしょうね

有栖川もきっと惨めなんでしょうね

はいはい…すべてはガキ臭い男に振られた私のせいってわけね