僕様王子に全てを奪われて

「飯島さんが勝手にやったとは言え…僕にとって、すごく良い状況なんです
愛子さんには行く場所がない
戻る場所も…

藤城の家に転がり込んでも、長くは居座れないでしょ?
愛子さんは、竜之介にフラれてるんだから
竜也だって、恋人がいるし…愛子さんが入る隙はない

僕のところにいるのが、一番良いと思いませんか?
僕の傍にいれば、何でも自由にできるんですよ?」

鬼だわ…

甘いマスクで、丁寧な口調に惑わされたわ

鬼畜よ!

「自由?
それと引き換えに、私は有栖川に足を開かなくちゃなんでしょ?」

「まあ、僕だって男ですから
好きな女性が、近くにいたら我慢はできません」

「我慢しなさいよ!
じゃないと、私はここを出ていくわ」

必死に強がってみた

なのに、有栖川はくすくすと笑いだした

「状況的に不利なのは、愛子さんですよ?
なんで僕が我慢をしないといけないんです?
僕はこの場で、愛子さんを抱くことなんて簡単なんだ
それを僕は、愛子さんの意思を尊重しているんですよ?
どうするんですか?
まだ逃げますか?
ここを出ていこうとするなら、容赦しませんよ?」

なによ…

私の気持ちを試してるって言いたいわけ?

無理やり抱けばいいじゃないのよ

何が、意思を尊重してるのよ!

思いきり脅してるじゃない