僕様王子に全てを奪われて

私が居間のドアを開けようと、ノブに手をかけると

有栖川の手が、私の手を覆った

温かい手が、私の動きを力で止めた

「どこに行くんです?
誰を頼るの?」

有栖川の低い声が、私の耳元で囁いた

熱い息もかかる

「誰だって…」

「藤城竜也?
それとも弟の竜之介?」

バレてる…じゃない

私が頼る相手が藤城の家しかないって…バレてるよ

…って、私にはその二人しかいないって…知られてるのが悔しい!

仕方ないでしょ

私には花と婚約者しかなかったんだから


「行かせませんよ
やっと僕のモノになりそうなのに…逃がすなんて、できません」

なに…言ってるの?

私は手に力を入れて、ドアを開けようとする

が、有栖川の力に勝てなかった