「な…何をするのよ!」

有栖川の唇が離れると、声が出る限りの大きな声で叫んだ

「生きていくのに必要なんでしょ?」

有栖川がにこっと笑う

「なにが!」

「僕の女になること」

私は目を丸くした

確かに…言った

覚えてるわよ

冴子の挑発に乗って…そんなことを言ったけど…

挑発に乗って言っただけで、別に本当に有栖川の女になろうなんて思ってないわよ

「僕、愛子さんの手料理が食べたいですね
あとは…一緒にお風呂に入ったり…同じベッドで寝るのもいいかな」

「はあ…」

にこにこと笑って、妄想の世界に旅たとうとしている有栖川を冷たい視線で眺めた

「ねっ、まずは…お風呂かな?」

「一人でどうぞ」

「ええ? 今、一緒に入ろうって…」

「一人で入って、二人で入っているように妄想してきたらいかがです?」

「目の前に、愛子さんがいるのに?」