「申し訳ありませんでした
僕は、愛子さんの家を壊し、居場所も奪ってしまった」

肩を抱いている有栖川の手がぎゅっと力が入った

私は、有栖川の腕に頭を乗せた

「全部は奪ってないよ」

「え?」

「今までの生活は確かに全部失っちゃったけど
新しい場所をちゃんと用意しててくれた
新しい居場所を作ってくれたよ」

有栖川の隣に、私の席を作っておいてくれたじゃない

ちょっと強引だったけど

「愛子さん…許してくれるんですか?」

「有栖川も辛かったんじゃない?」

「ええ…まあ」

有栖川の心全部、理解できてるわけじゃないけど

有栖川が悪いことができるような人じゃない

きっと辛かったはず

何も知らなった私より、ずっとずっと

2倍も3倍も苦しんでいたと思うと…

有栖川を怨めないよ

それにこれで良かったって思ってるし

滝沢家を存続する力なんて…私にはなかったから