「でも言ったら、反対される」

「茶佑を味方につけろ」

は?
誰?

「さ…サスケ?」

「あ…冴子だ」

「ああ…ってなんで知ってるの?」

「あんたの生活環境ぐらい把握している
じゃなきゃ、仕事を頼まない」

「最初は知らなかったくせにぃ」

「まあ、な」

勇人さんがぷいっと横を向いた

「わかった
冴子を味方にする
それでも反対されたら?」

「俺に言え」

「え?」

「俺が直接、有栖川に頼みに行く」

「わかった」

私はクリアファイルを持って立ち上がった

「じゃ、帰る」

「ああ、テツに送らせる」

「ううん、いい
ここからだと、有栖川の教室が近いから
ちょっと見ていきたい」

勇人さんがにやりと笑った

「見ていきたい…じゃないだろ?
見に行きたいんだろ?
有栖川の姿を…見たいんだろ?
早く会いたいんだろ?」

「…んか、それ…むかつくっ」

私は頬を膨らませると、すたすたと玄関に向かって歩き出した