僕様王子に全てを奪われて

あはは…と私は笑った

「ちょっと緊張してまして…つい」

「藤城から聞いた女性像とは全く違うな」

「竜ちゃんは、私を知らない」

「有栖川なら、あんたを知っていると?」

「どうだろう
それはわからない…けど、素の私でも受け入れてくれた」

勇人さんは鼻を鳴らすと、手に持っているクリアファイルを私に渡した

「あんたに渡そうかまだ迷っているが…渡しても問題はなさそうだから渡す」

はあ…

迷ってるなら、心が決まってから渡してよ

私はファイルを受け取る

「被害に遭った女性たちのブログの抜粋と、有栖川の教室についての悪口
あとは高波の資料だ
高波は、一緒に仕事をしないとわかれば、きっと己の女にして金を毟りとろうとしてくるはずだ」

「あのぉ…毟り取られるお金のない女ですけど?」

「馬鹿だな
頭を使えよ
それとも性犯罪を暴きたい?
その際、あんたを守ってくれる奴は誰一人としていない
最悪の事態になっても俺は責任をとれない
なら…詐欺の被害に遭っているふりをしていたほうがまだいいだろう」