「はーい、お時間よぉ
そろそろ外出準備をしてください」

ぱんぱんと手を叩いて、冴子が話の骨を折った

竜ちゃんがふぅっと息を吐き出すと、部屋を出ていく

「飯島さん…」

「ちょ…言いたいことはわかってるわ
私だって引きとめたわよぉ
とりあえず着替えてよ
そんな乱れた服で、次の授業はできないわよ」

冴子がにやりと笑って、ドアを閉めた

有栖川も大きく深呼吸をすると、肩の力を抜いてベッドに座った

「愛子さん」

「は、はい」

「帰ってきたら話をしましょう
だから藤城竜之介君に何を言われても、ここから出ていこうなんて思わないでくださいね」

有栖川?

私はこくんと頷いた

「良かった」

寂しそうに有栖川がほほ笑んだ