お…お弁当は?

お昼はぁぁ…私のご飯ちゃんがっ……遠い

「愛子さん、なんで彼がここにいるんです?」

有栖川の低い声が聞こえてきた

「え? 知らない」

私は首を傾げた

「確かに…なんで?」

私は眉を寄せると、腕を組んだ

どうして有栖川のマンションにいるって知ってるんだろう…

ああ、そこまで聞く前に、空腹のあまり言葉を遮っちゃったよっ!

「僕を馬鹿にしてます?」

「え? いや…本当に知らないんだってばっ」

「愛子さんが教えなければ、彼は知らないはずですよ?
どうしてここにいるのでしょう?
しかも僕のいない時間に」

「そんなことを言われても…」

わからないわよ!

本当に私は何も言ってないもん

「手まで繋いで、何をしようとしてたんですか?
僕のマンションで」

「いや…だから、あれは、お腹が減ってて…とりあえず食したいから…」

「食べ物があったんですか?」

「あ、竜ちゃんに買わせた」

「お腹が減ったから、僕に連絡をするのではなく
藤城竜之介に連絡をしたと?」

「だから…目の前にいたから…ご飯を買ってきて…って言っただけで」

「目の前?
意味がわかりませんね」

「立っている者は親でも使え…って言葉があるじゃない?
だから…目の前にいる者は元許婚でも使え…みたいな」