私は必死なのよっ!

背中に移動した有栖川の手も震えているように感じて、私は顔をあげた

有栖川も左手で口元を押さえて、失笑していた

え?

「ちょっと、有栖川までっ!」

「す、すみまっ……せん
もう駄目だっ」

有栖川の手が背中から離れるなり、有栖川はクローゼットをばしばしと叩いていた

な、何よ!

二人とも…私のことを笑って

「失礼よ!
男のくせに、女の体を見て笑うなんて」

「女の体って言っても……貴女の場合…」

呼吸の続かなくなった冴子が『ひぃ』と引き笑いをした

「動きが変なのよ」

息を吸った冴子が言葉を続けた

「だから…女言葉はやめ……
息が…くるしっ」

有栖川はクローゼットに手をついたまま、胸を抑えて膝を折って身を小さくした

「もうっ!
さっさと仕事に行きなさいよ
遅刻して、誰かに怒られればいいのよ」

私はぷいっと横を向くと、自分の部屋に入って荒々しくドアを閉めた