「アリスガワぁぁ…さびしいよぉ」

僕は足を動かして、前にずりずりっと動いた

ベッドのすぐ横に座り直すと、愛子さんの頬に手を触れた

「はいはい…帰ってきましたよ」

まだ乾いていない涙が、僕の指先を濡らした

「痛いのは嫌だけど…冴子をするのもイヤだぁ」

「え?」

僕は目を大きく開けると、愛子さんの顔を見つめた

これって…焼きモチですか?

…て、寝言ですけど…

「有栖川の馬鹿! スケベ…もう少し我慢しろ」

「充分、我慢してると思うんですけどねえ」

僕は愛子さんの寝言に突っ込みを入れる

愛子さん…飯島さんの本名を知ってます?

『飯島 茶佑』(いいじま さすけ)って言うんですよ

茶佑です

男なんですよ

茶道の家の息子で、次男だったばっかりに家を継げずに僕の家に来たんです

だから…してませんよ

飯島さんとは、僕的にはできません

男性と…というのは趣味ではありませんので