「…で、高波さんは悪い男なんですか?」

「被害に遭った女性から見れば、最悪な男だろうなあ」

「ふうん
それで? その最悪の男を叩くの?」

私の言葉に、小山内勇人が勝ち誇った顔をする

「当たり前だ」

「じゃ、協力する」

「そう言ってもらわないと困るところだった」

「楽しそう
ここら辺で、私もストレス発散しないと…爆発しそう」

「爆発するなら、俺のいないところでやれよ」

「ええ?
爆発する前に、解体してあげようとか思わない?」

「思わねえな
そんな義理もねえし
むしろ藤城の前で、爆発してもらいたいもんだ」

私は声をあげて笑った

「小山内さんって、おもしろーい」

「勇人でいい
詳しい話は後日な
なんか怖い人がこっちを見てるから…藤城から愛子の連絡先を聞く
携帯に連絡をするから
電源は入れておけ」

勇人さんは私の肩をポンポンと叩くと、私から離れていった

怖い人?

私は振り返ると、勇人さんが一瞬だけ動かした視線の先を追った

無表情でこっちを見ている有栖川が立っているのが、わかった

「…あっ…」

私は小さくつぶやくと、苦笑いを浮かべた