僕様王子に全てを奪われて

「もしかして…滝沢愛子？」

「はあ？
…なんで知ってるのよ！
あ、いや…ははっ
何で知ってるのでしょうか？」

私は苦笑いをする

小山内勇人は、にやっと満足そうに笑うと何度もうなずきながら私の全身を舐めるように見つめた

はあ…今度は私が値踏みされる番のようです…

…てか、何で私の名前がわかったのよぉ

「ふうん、藤城のねえ…」

も…もしかして竜ちゃんまで知ってるの？

ひゃあ…なんか、もう、帰りたい

いや…帰ると有栖川と……だから、帰りたくないけど

この場から消えてしまいたいというか

なんというか

誰か、助けてぇ

って、思って誰かが助けに来てくれた試しはないので…一人でなんとかしないといけないのはわかってるんだけどね

「なんで藤城を繋ぎ止めておかないんだよ
おかけで、あんな奴に、莉子が……
考えただけでも苛々してくる」

苦虫をかみつぶしたような顔で、小山内勇人が文句を言ってきた

「は…はい？
私のせい？」

「そうだろうが！」

「何よ、それ！
いくら私が、魅力が全くない１５歳のガキ臭い女だったとしても…竜ちゃんが莉子さんを選んだのは私のせいじゃないっての」