僕様王子に全てを奪われて

「君、莉子を知ってるのか?」

「え? あ、えっと、まあ…」

「ふうん」

小山内勇人と名乗った男は、右の唇を緩めると穏やかな表情になった

「俺は莉子の兄だ
君は、莉子とはどういう……?」

「えっ? ああ…っと
知り合い程度っていうか
顔見知りってだけで……」

私の視線は、小山内勇人から離れていく

言えますか…ての

竜ちゃんの許婚で…莉子さんは、竜ちゃんから紹介されて知ってるんです

…なんて、言えませんよ!

私は、夫となる男を奪われた魅力のない15歳のガキ臭い女ですって

自らを紹介してるみたいじゃないのよ

…って魅力のない15歳ですけどぉ

それは認めますけどぉ

だからって、笑顔で言えない……

絶対に、言えません!