僕様王子に全てを奪われて

「大丈夫?」

頭上から、低い声が聞こえてきた

私は顔をあげると、高波さんが優しい頬笑みで私を見下ろしていた

「え? …あ、はい」

大丈夫じゃないけど…他人に話せることじゃないし…てか、この人は有栖川の生徒だし

「飯島さんから聞いたよ」

「はひっ?」

え?

な…何を?

何を聞いたの?

って、冴子は何を話したの!

私の心臓が、喉から出そうになる

「…教室、通いたいけど…授業料が払えないんだって?」

「は?」

私は目を丸くした

何…それ?

確かに…お金、持ってないし

「あれ? それで今、飯島さんに相談してたんじゃないの?」

「え? あ…そうです、はは、そうなんです
私、貧乏で…」

私は乾いた笑いを響かせた

冴子め!

なっちゅう話しを…してるのよ