桃びる



「最近の…、
マイブーム…かな」


その言葉が春らしく
なくて、彼は春を
振り返った。


春は缶を目の高さまで
持ち上げてラベルと
にらめっこしていた。

先ほどの言葉に、
特に意味があるわけでも
なさそうだった。


彼は、すぐ傍にあった
椅子に腰かけた。

そして、春の後ろ姿を、
じっと、見つめていた。