桃びる



春は腕時計を確認して
傍らにかけてあった
バッグを手にとると、

席を立った。


廊下に出てすっかり
癖になったスリッパの
音を廊下に響かせて

ロビーの自販機の
前に立った。


自販機は、いつも、
ウィィンと低く唸って、
春を、威嚇する。