時計も携帯もないから時間は分からない


それでも結構時間は経っていると思う。


・・ったく

どっか行くなら鍵くらい置いて行ってよね。



一人で暫く待っていると


「いたのか」


人の気も知らないで呑気な事を言ってきた。


「先生こそ、おでかけですか」

!?

先生の肩が激しく上下に動いてる。


「何処にいたんだ」


厳しくはないけれど。

それでもその睨みがまさに怒っているとでも言ってるようで。


・・でもあたし怒られるような事してないし。


「何処って電気屋さんに・・」

「・・そうか」


あたしの言葉に大きく息を吐いて
呼吸を整えると玄関先に向かった。


・・まさか

まさかとは思うけど。


「まさか、捜してくれたんですか?」


そんな事あり得ないって分かってるけど

でも

それでもどうしても聞きたくて。


「黙れ」

振り向くことのなくそう吐き捨てる先生。


普段はムカつくその言い方も言葉も。

今はただの照れ隠しにしか聞こえない。