甘い紅茶と苦い珈琲





「えっとね、3年の先輩だと思う」

「‥思う?」




結局、人が多すぎて恥ずかしいと言う愛は、昼休みに詳しく話すと言って、ほんのり顔を赤くさせてた




んで、ただいま屋上でご飯なんだけど、立ち入り禁止だから屋上にはあたしと愛しかいない





「赤いタイだったから」

「あぁ、3年だね」



うちの学校は、1年が紺色、2年が深緑、3年が朱色で、男子は右斜線、女子は左斜線の模様のタイになってる





「名前は?」

「わかんない…‥」

「そっか」

「で、でもね‥…隣にその、神木先輩がいるのよく見る‥」

「…‥(あぁ、冨永雄貴かな…)」


あの人が隣にいると聞いて、最初に浮かんだのは冨永の顔だった




「で、なんでその人なの?」



もっと話を聞いてほしいと目で精一杯訴える愛に、話を続けるように促すよ

ぱぁって明るくなった愛の表情に、かわいいなって素直を感じて、頭を撫でたり…‥


嬉しそうに話す愛に、自然と顔が緩んでいく
結ばれたままだった堅い結び目がほどけ出す




.