午後10時、


塾を出てあたしは1人すっかり葉を落としたイチョウ並木を歩いていた。



『内田さん』


静けさの中に声が落ち振り返ると井上くんが立っていた。


「井上くんも今帰り?」


『うん。1人でこんな暗い道歩いてたら危ないよ?』


「あはは、大丈夫だよ。あたしみたいな地味な女襲われないよ。」