太一、太一。 あなたが好きでした。 小さい頃に迷子になって、泣きながら歩いた夜道も。 自転車一緒に並べて帰った帰り道も。 卒業式で真っ赤な顔で第二ボタンくれた時も。 全部全部、何時でもあなたが一緒でした。 煙が立ち昇るお葬式で、おばさん達の噂話で太一は子供を助けて事故にあったのだと聞いた。 子供が無傷な代わりに、太一は即死だったそうだ。 カナカナカナカナ。 ひぐらしが、あたしの名前を呼ぶ。 あたしはひぐらしの声を聞く頃に、毎年太一のことを思い出す。 <end>