カナカナカナカナ。


「…オレさ、佳奈が好きだった」


ひぐらしに紛れて太一が告げる。


カナカナカナカナ。

あたしは目を上げて太一を見る。


あたしを包む、太一の腕と。

優しい声。


「…佳奈、プロポーズ出来なくて、ごめん」


あたしは何度も首を振る。