1時間後、
健太郎は目を覚ました。


「う・・・ここは・・?」


まだはっきりとしない頭を無理矢理起こし、辺りを見渡す



草原・・・


草原・・


草原・


草原!


「草原ーーーーー!!!!」


360゜回転した健太郎の視界に飛び込んできたのは、
地平線まで続く真緑色の草原
だけだった

都会暮らしの健太郎にとって、この光景は衝撃的かつ見慣れないものであった


上を向くといつもと同じような青空と白い雲


ただ一つ、
健太郎の目にとまったものと言えば、
その草原に一本だけひかれた細い道
のみ


道は
“健太郎の前”へ
ずっと続いていたが、
不思議なことに、
“健太郎の後ろ”
で途切れていた


“前”へと続く細長い道
“後ろ”で途切れる不思議な道


健太郎は何の迷いもなく、自然と足を踏み出した


もちろん“前”へ