──コンコン

─コンコンコン


健太郎の右にある窓がなる。


ここは二階。人が来るなんてありえない。

そんなことも忘れて、健太郎は窓に向かって返事をする。


「あ?」


顔をあげ、窓を見た健太郎は目を疑った。


──コンコン


窓をノックしているのは一人の男だった。

黒く長い髪を後ろで一つにしばっている、

顔はどちらかというとハンサムで、

身長は健太郎より少し大きいぐらい。


普通の人間とは違うところもあった。


バサッと音をたてている灰色の羽で、ベランダもない二階の窓の外に、まるで地面があるかのように浮いている。

頭の上に生えた真っ白な三角形の耳は、猫のようだ。
そしてその耳とセットのようにときどき体の横からちらっと見えるしっぽは、やはり真っ白であった。