雨は止んでなんかいなかった。

むしろ、さっきより激しくなっていて……
制服が濡れる。

それが少しだけ気持ち良かった。

かばんの中の教科書は多分びしょびしょ。

別にいいけど。


あたし、フラれたんだ……。

やっぱ、何でもかんでもうまくいくんじゃないんだな。

メールでコクれば、さっきよりマシな答えが帰ってきたのかな。

でも、『フラれた』ってことは、
もう太田はあたしに服従してないってことだよね。

これでいいのかも。


俯きながら歩いていると、

「島村!」

突然、目の前から声がした。


あたしは顔をあげた。

「島村……」

そこにいたのは、吉澤だった。

「……? どしたの?」

あたしは無理矢理な笑顔を作って問い掛けた。

「俺さ……」

吉澤は深刻な顔をしていた。

雨に濡れたイケメンって、
やっぱりかっこいい。

「俺さ……おまえのことさ……」

「何?」

何も考えずにあたしは聞き返した。


吉澤が口を開くまで……
あたしは雨の降る音にひたっていた。




♀続きはご想像におまかせします♀