それに顔を見られるのは挨拶する時ぐらいだから大丈夫だろ。





「行くか。」


「ええ。」





俺と梨珠のボストンバックを持ち、鍵をかけエレベーターに乗り、駐車場まで降りる。





バックをトランクに入れ、俺は運転席、梨珠を助手席に乗せ慎也のアパートまで車を走らせる。





マンションから20分ぐらいのところに慎也の住んでるアパートがあり、その前で彼女と一緒に待っていた。





「よう。車出して貰って悪いな。」


「気にすんなって。」


「紹介するよ、彼女の理佳。」


「初めまして、川越理佳です。」


「初めまして、小野寺大河です。」




小柄でニコニコと笑顔を浮かべていて愛想のいい彼女は、慎也の好きそうなタイプの子だった。





「紹介するよ。俺の妻の・・・珠梨。」


「初めまして、主人がいつもお世話になってます。妻の小野寺珠梨です。」





サングラスを取って、挨拶をする梨に慌てたがそんなことは無用だったみたいだ。





「マジ?大河には勿体無い。」





とりあえずばれなくてよかったと安堵したが、今の言葉を聞き逃すなんてことはしなかった。