小悪魔ハニー

「大河のクラスの生徒さん?」





おぼんに乗ったお茶を一人一人の前に置きながら口を開く。





「はい!」


「今日はどうしたの?」


「先生の奥さんを見たくて……。」


「まぁ、私を?」





白々しく言いながら、普段では絶対ありえないぐらい俺の横にピッタリと座る。





「あのっ、先生とはどこで出会ったんですか?」


「私の行きつけのバーよ。」


「どっちから告白したんですか?」


「大河よ。最初はナンパされたの。それで次の日に告白されて付き合うようになったの。」





俺から誘ったのは本当だが、告白はしてない。





「なんて言われたんですか?」


「お前が好きだって言われたわ。」


「プロポーズも聞いていいですか?」


「プロポーズはね、お前とずっと一緒にいたいって。俺のものにしたいって言われたの。」





梨珠は、女優になればいいと思う。





言葉遣いも声も仕草も表情も全然違うし、絶対なれると思う。





「赤ちゃんは作らないんですか?」





どこまで聞くんだと内心ため息を吐いた。