小声で言ってくる梨珠にピクっと口角が引き吊る。





わざとらしく心配そうな顔をして覗き込むがやっぱり可愛いくて、顔が悪いなんて言われてもまぁいいかと思ってしまう。





「いや、大丈夫。」


「そうですか、お大事に。」





どうした心境の変化か、最後の言葉はさっきの心配したような声とはガラリと変わり、素っ気なかった。





お茶を啜りながら、梨珠が出て行くまでぼんやりと眺めていると校長が入れ違いで入って来て、気を引き締める。





合併後、初めての学校だから朝礼が長いと慎也が言ってたけど、本当に長くてケツが痛い。





やっと朝礼が終わり、慎也とＺクラスに向かう。





廊下を歩いているとＺクラスの前には生徒の塊。





「何だこれ。」


「姫目当てだよ。」


｢おらっ、自分のクラスに戻れ！」





そう言いながら生徒を蹴散らし通って行く慎也の後ろを付いて行く。





慎也に言われた生徒達は自分の教室に戻って行く姿を見て、姫達って本当に人気あるんだと思った。




そんな姫である梨珠が俺の妻って優越感に浸れる。