いつしか俺は、真紀子を梨珠に置き換えていた。





なんで梨珠なんだ………なんで出て来るんだ。





真紀子が寝ている横に座ってタバコに火を付けた。





「ねぇ、奥さんの事好き?」





背中に抱きつき聞いてくる。





「なんで?」


「私を抱いてる時“梨珠”って呼んでた。奥さんの名前でしょ?」




真紀子を梨珠に置き換えたのは確かだけど、自覚がないだけに驚いた。





無意識に梨珠って呼んでたのか………。





「私と奥さんを置き換えたんでしょ?大河とは体だけの関係だから別にいいけど…奥さんを愛していても私とは会ってくれるんでしょ?」





梨珠を好きだとは、はっきり言えないけど嫌いじゃない。





愛してるともはっきり思えないけど、愛してないわけじゃない。





勝手に婚姻届を出された時は、どうにかして離婚したかったし俺の人生最悪だと終わりだと思った。




梨珠に会って、まだ1日しか一緒に過ごしてないけど離婚の2文字は頭から消えていて、今じゃ最悪だとも思わない。