「征二と…結婚しようと思って……。」





でも…征二さんには……。




「まだ言ってなかったんだが…登紀子とは離婚してるんだ。文化祭の終わった頃だったかな。」


「えっ…!」





俺も梨珠も驚きを隠せない。





「登紀子から離婚してくれと頼まれた。彩奈の本当の父親がこっちに来たんだよ。」





本当の父親………?





「あの、早川はお義父さんの子供じゃなかったんですか?」


「ああ、登紀子が妊娠4ヶ月の時に結婚したんだ。あの時は家の為に結婚したからあいつも俺の子供だと言ってきかなかった。だが、本当の父親が現れた。離婚したいと言ったから承諾したよ。」





何を思ってるのかわからないが一向に口を開かない梨珠。





「梨珠…今まですまなかった。結婚させたのはいらなくなったからじゃないんだよ。気持ちを無視した事と変わりはないが、幸せになって欲しかった。」


「……お父様、ありがとう。私…結婚出来て幸せです。」





その言葉に征二さんは涙を流した。





「そう言ってもらえて嬉しいよ。」





征二さんに微笑む梨珠を見たのは初めてかもしれない。