めんどくさい、うんざりする。





何も言わない俺の横に立ったままの瑞希。





「大河っ。」





瑞希が俺の名前を言った瞬間、肩が重くなり後ろから誰かに抱きしめられた。





「浮気しちゃ嫌……他の女なんか見ないで。」





この声は瑞希じゃない。





「誰……貴女?」


「大河の妻です。今、奥さんがいても彼女にしてって言ったでしょ?愛人にしてって事?」





抱きしめられたままの俺は後ろにいる女の顔が見えなくてもどかしい。





声と白く細い腕しか確認出来ない。





「大河の奥さん?貴女が?若く見えるけど、何歳?」


「何歳だと思います?オバサンより若いのは確かなの。」


「なっ……!」


「だってあんた、24か25でしょ?私から見たら十分オバサン。」





女の言う通り、瑞希は25歳。





「ねぇ、大河!ほんとに奥さんなの?」





そう言われ、後ろの女は抱きしめるのを止め俺の横に立つ。





赤の短いワンピースを着て、髪は巻いてあり、横から見てもスタイルがいい女だった。