今日は1年の中で一番生徒の出入りが激しい日だと思う。





次から次へと生徒達が入って来る。





女子はいつもより輝いてる。





男子は無駄に落ち着きがない。





「あ、あの!小野寺先生!」




声のした方を見ると2人の生徒。





「どした?」


「あの…貰って下さい!」




2人同時に綺麗にラッピングされた物を俺の前に差し出す。





「結婚されてるのは知ってるんです。けど、貰ってくれませんか?」


「ああ、ありがとう。」





そう言うとパアッと明るい顔になり小走りで職員室を出て行った。





教師になって初めて実感した。





バレンタインというものは嬉しいが正直面倒なものだという事。





次々に来る生徒達に断ってもいいがキリがない。





「先生!好きです!貰って下さい。」





義理だとありがたく貰えるが、告白と本命を渡されると受け取れない。





「結婚してるの知ってるよな?」


「はい…でも好きなんです…。」


「ありがとう。そう言って貰えるのは嬉しいけど、奥さん一筋なんだ、ごめんな。」


「義理でいいんで…貰って下さい。」