居酒屋に着くと慎也は先に来ていて、カウンター席に座ってた。





「ごめん、遅れた。」


「いや、いいよ。それより奥さんには言ってきた?」


「ああ、ゆっくりしてこいだってさ。」


「はは。いい奥さんだな。」





やり取りを見てないからそう言えるんだよ。





「とりあえずビール飲むか。」


「ああ。」


「生2つ。」





近くにいた従業員に頼む。




「で、相談ってなんだよ。」


「あ〜・・・実はさ、好きな奴が出来た。」





言葉を濁し、苦笑気味に言う慎也。





好き奴が出来たって、彼女いるだろ?





「一緒に旅行に行った子だろ?」


「理佳?あいつとは別れたよ。」


「はぁ、いつ?」


「旅行行った2週間後ぐらい。」





あんなに仲のよさを見せつけられて、別れたって言われても信じがたい。





「あいつさ二股かけてたんだぜ?最悪だよな。他の男と歩いてんの見てさ、離れたところから電話して何してるか聞いたらお母さんの実家に来てるとか言いやかってさ、頭きたからその場で別れてきた。」





あんな子が二股かけるなんて見た感じ、全くしなかったのに意外すぎてなんて声かければいいのかわからない。