この状況が全くわからない。





梨珠、その傷はどうしたんだ・・・?





髪の毛だって・・・





早川も母親の態度はこの前とはガラリと変わってる。




早川ってこんな奴だった?




俺の知ってる早川は控え目で大人しい生徒で、家に伺ったときも母親は優しい感じだったのに・・・





もの凄い形相になってる。




「小野寺先生。」


「は、はい。」





梨珠に向けられていた視線はチラッと俺に向けられた。





「早くこの女と離婚した方がよろしいんじゃなくて?」





・・・・・離婚、なんで知ってるんだ。





「こんな女を貰っても恥ずかしい思いをするんじゃなくて?」


「どういう事ですか?」


「あら、知らないんですの?・・・あなた、言ってないの・・・言えなかったのね。
先生、この女は愛人の子ですよ。見て分かる通り、日本人ではありません。汚れた瞳なんて母親と同じで吐き気がする。愛人の子を妻にするなんて一族の恥ですよ。」


「母親の事は悪く言わないで下さい。」





梨珠が言った直後、パンッと言う鈍い音。