一歩足を出した時“パンッ”と乾いた大きな音がした。





教室に引き返し、ドアを開けると頬を押さえた早川が床に座り込んでた。





梨珠は相変わらず、無表情で冷たい目で早川を見下ろしてた。





「大丈夫かっ、早川!」





早川の元に駆け寄ると、頬は赤く目には涙が溜っていた。





「自業自得ね。ねぇ、口は災いの元って言葉知らないの?」





見下ろしながら言った梨珠に俺は動けない。





「叩くなんて酷いっ。」





泣き出した早川。





「叩かれる様なバカを言うからでしょう。」





悪びれる様子もなく淡々と答える梨珠。





「バカって・・・酷い・・・。」


「バカにバカって言って何が悪いの?私の親切心に感謝しなさいよ。それに、泣けばどうにかなるとでも思ってるの?家に守られて、親に守られて育ったから性格悪くなったのね。あなたみたいなバカは一生治らないわね。」





黙って聞いてれば、泣いてる奴にバカとか言い過ぎだ。





何が感謝だ。





叩いたんだろ、手を出したんだろ。





なんで謝らないんだ!