「めんどくさいことになるぞ・・・」

「大丈夫だよ、適当にあしらうから」

「俺は止めたからな・・」

そいつはそれっきり口を閉ざした。

「またな」

俺はトイレに行くのをやめ、席に戻る。

「柚木~、好きなの飲みな~」

「サンキュー、じゃあ百合と同じの頂戴」

「はいよ、仲いいね~」

マスターは笑う。

「ち、違うって」

俺は慌てて否定する。

「そうなの~、柚木大好き」

「まったく」

俺は一つタメ息をつきタバコを咥える。

「ねえ、見て!」

「ん?何?」

百合はボトルが並んでいる上を指差す。

「あっ」

さっきの写真が一番目立つところに飾られていた。


午前3時閉店。

「そんじゃ~、帰ろうか」

俺が言う。

「あ~あ~、楽しかったな~、でも時間か~」

百合が名残越しそうに言う。

「ごちそうさま」

「ねえ、柚木~途中まで送るよ」

店を出て百合は腕を組んでくる。

「ねえ?あたしねお金もってるの」

なんだ?こいつ・・ちょっとアブね~か?

「なんでも買ってあげるよ」

俺は適当に流す。
「マジで~、じゃあ何がいいか考えとこ」

「ねえ、キスして・・」

百合は住宅街の路上でキスを求める。
百合の手は俺の股間に伸びていた。

「ねえ・・行かない?」

「ん~、そうだな。本気にならないならな、割り切れよな。」

「うん」

タクシーを拾いホテルに向かう。

その時、酔っ払っていたせいか、
誰かが見ていたなんてまったく気づかなかった。