“まっ、いっか”

連れてかれた店は、若者が溢れるダーツバーだった。

「マスター!新しい彼!」

「あらら、色男じゃない。よろしくね。ここどうぞ」

“あっ、どうも”
俺は軽く会釈をしてカウンターに座った。

ちょっとニューハーフ混じりのマスターは40くらいの髭面。

「でしょ~、ねえねえ、写真とってよ。」

「はいはい」

ポラロイドカメラを出すマスター

「はい、行くよ~、くっついて~」

百合はここぞとばかりに胸を押し付け寄り添ってくる。

“パシャ”

「OK~、しばらくお待ちを・・」

マスターは出てきた写真を振って絵が浮かんでくるのを早めようとする。

「あの~、さっき、胸あたったよ」

「あれ?そうだった~、ごめんごめん。興奮しちゃった?」

楽しそうに笑う百合。

「べつに・・」

「何よ、その態度。冷たいんだから~」

「はい、出来たよ」

写真を渡してくるマスター

「わ~い、ありがと」

「ほら~、柚木もみて~」

百合はまたしても体をよせてくる。
上から見ると胸の谷間が丸見えだ。
大きくもないが小さくもない・・、か。

別にどうでもいいけどさ。

その時、俺の携帯にメールが入る。

“ちょっとごめん”

ついでにトイレに行こうと席をたつ。
歩きながらメールを開く。

“・・・その女は・・・やめときな”

ん?俺は目を疑った。

“・・・その女は・・やめときな”

何度みてもそう書いてある。

俺はふと視線を感じ取り周りを見渡す。
すると、知り合いの男が一人、一番俺らと離れた対面の席で飲んでいたのに気づいた。

メールの送信者だ。

人を掻き分けそいつに近づく。

「おお、いたんだ」

俺はそいつに近づく。

「いったい、なに?」

「あいつはやめとけって」

「何が?ただ飲みに誘われただけだよ」