*朱音 side*


「よかったの? 朱音。」


詩乃が出て行った扉を見る。


「あゆか…。盗み聞き?」

「失礼な…。朱音がいてって言ったからいたのに。」


私の1番の親友、白波 あゆか(シラナミ アユカ)。
小5からの大親友。


「あは~♪」

「珍しいね、朱音が人の背中押すなんて。」

「…本当は押す気なんか無かったよ。」


あの日。
初めて竣を見て、かっこいいけど性格悪そうくらいにしか思ってなかった。

だけど、何日か経って、少しずつ喋るようになった。
結構いい奴で…自然と惹かれてった。

本当に好きで、体育祭実行委員で一緒になった時はめちゃめちゃ嬉しかった。


だけど、竣は詩乃が好きだった。
詩乃も竣が好きで…それでも負けるもんかと思った。


だから、詩乃に私の好きな人教えたのに…。

日が経つにつれて、詩乃の性格が手に取るように分かってしまった。
闘争心むき出しの私に…詩乃は優しかった…。


詩乃は本当にいい子で…自分がバカバカしく思えた。


だから…詩乃には幸せになってほしいって…思っちゃったんだよね…。


「本当は告ってないんでしょ?」

「まぁね。でも…私の恋が叶わないのくらい分かるし…。
マジで竣の奴、私の事男友達程度にしか思ってないからね…。」

「朱音、変わった?」

「…かもね。」

「朱音の事だから…ガンガン行くかと思った。」

「あゆかじゃあるまいし…。」

「…いい人いるかな~…。」

「合コンでも行きたい!! 出会いがほしい!!」

「私も~!!!」




…詩乃、幸せになんなかったらぶっとばすからね。