「ちょっ…雅樹?」

「…俺、最低。」

「…雅…樹…。」

「ゴメン。嫌なのは分かってる…。」


嫌じゃないよ? 嫌いじゃ無いもん。でもね…

好きじゃないんだ。


「でも…もう見てらんない。痛々しすぎんだよ…。」

「でもっ…。」


恋にはこんなの付きものだと思うから…大丈夫なんだよ?


「好きだ…。」

「雅樹…。」


もう、雅樹の名前を言うことしかできない。


「なんで竣なんだよ…。俺にしろ…。」


竣を忘れて雅樹と付き合えって事…?


「その思い抱えたまんまでいい。全部忘れさせてやる。
俺と…。」

「…雅樹。」

「ん?」


忘れたくない。

ゆっくり雅樹から離れる。


「ゴメンナサイ…。」

「……。」

「私…どんなにつらい思いをしてもいいから…。」


だから…


「忘れたくない。他の人じゃダメ…。竣じゃなきゃ…ダメなの。
代わりの人なんて嫌…。」


ついこの間気付いた思いだけど、本気で竣が好きなの。
そんな簡単に無くなるような思いじゃないし、誰かが消せるような思いでもない。